裁判所というと,「そりゃ裁判する所でしょ。」とか,「普通の生活とは縁がない所よね。」とか,あるいは「訴えられたら呼び出されて行かなきゃならないこわ~い所?」といったイメージをお持ちの方もいるかも知れません(この仕事をする前の私は,そう思っていました。)。仕事がら毎週のように人吉の裁判所に足を運んでいる弁護士の私も,「裁判所って,どんな所?」と聞かれると,実はきちんとお答えするする自信がありません。
私のイメージでは,裁判所とは,持ち込まれた紛争(トラブル)を公平中立な立場から解決することを通じて,皆さんの権利や生活の安全の実現を目指す場(といっても,国家機関ですが)なのかな,と思っております。
『裁判』は,そうした紛争(トラブル)を解決する重要な方法のひとつです。
『裁判』とは,例えばAさんが持ち込んだ具体的な事件について,「法律」と「証拠」に基づいて,そのAさんが求める権利があるのかないのかを最終的に裁判官に決めてもらったり(これを「民事裁判」といいます。),あるいは国(検察官)が訴え出たように,本当にBさんがある犯罪を犯し,そのため一定の刑事責任を負わなければならないのかどうかを,「法律」と「証拠」に基づいて裁判官が最終的に判断する(これを「刑事裁判」といいます。「裁判員裁判」とは,これら刑事裁判のうち一定の重大な事件について,皆さんが裁判員としての参加を求められる裁判をいいます。)ことをいいます。
裁判所では,こうした『裁判』のほかにも,紛争解決の方法として,『調停』というメニューを用意しています。『調停』とは,裁判所の場所と人(調停委員)を仲立ちにした「話し合い」によって円満な紛争解決を目指す方法だと思ってもらえばよいと思います。皆さんも,「離婚調停」とか「遺産分割調停」といった言葉で聞きたことがおありかも知れません。『裁判』ですと,どうしても「勝った負けた」とか「白黒つける」といった争いのようになってしまうので,話し合いができるようであれば,『調停』は,紛争の円満解決のために有効な方法だと思います。
実は,裁判所には,もっともっと沢山の役割やお仕事があるのですが,まずはこうしたイメージをもってもらえればと思います。
裁判所では,裁判官や裁判所職員の方や調停委員その他の皆さんが,こうした紛争の解決のために必要なお仕事を,日々されています。裁判所の皆さんは,(少なくとも人吉の裁判所では)とても親切丁寧ですので,『裁判』や『調停』のルールとか,その利用方法とか,その際の決まりごと等については,安心して質問していただいてよいと思います。
ただし,紛争(トラブル)の「中身」の相談や質問(これは「法律相談」と言います。)については,裁判所の方はお答えできないので,これは弁護士にしてくださいね。
以 上