さて,今回のテーマは,「離婚」についてです。
私は,弁護士として,毎日のように主に人吉球磨地域の皆様から実に色々な種類の法律相談をお受けする機会があるのですが,そうした経験からお話しすると,お受けする法律相談のうち,離婚に関する相談,すなわち離婚やそれに伴う子どもの親権・監護権のこと,離婚前後の婚姻費用や養育費の分担のこと,それに離婚に伴う財産分与や慰謝料のことについての相談の数は,大変に多いです。
一言で「離婚に関する相談」といっても,その内容は実に様々です。また,その中でも調停や訴訟による紛争解決が必要と判断されるケースは,全体からすれば多くはないかも知れません。いずれにしても,私は,相談をお聞きするたびに,ご主人や奥さんと離婚すべきか,あるいは離婚するためにはどうしたらいいか,離婚する場合にはお子さんのことをどうしたらいいか等について悩みながら,仕事や子育て等の日々の生活に向き合っている方がこんなに多いのかという思いを新たにしていますし,離婚問題とはドラマの中の話ではなく,日常生活の中やごく身近にある問題なのだと感じています。
まず,離婚とは何かですが,『法律学小辞典』では「生存中の夫婦が婚姻関係を解消すること」と説明されています。言い換えると,「当事者が夫婦関係という法律関係を解消し,これに伴う諸種の法律効果を包括的に発生・消滅させる行為であって,戸籍法に定める届出がなされないとその効力が発生しないもの。」ということになるかと思います。
次に,離婚の効果ですが,まずは夫婦関係の解消であり,『「結婚(婚姻)」って何?(その1)』(平成25年11月号)でお話しした,「夫婦」という特別な関係を解消して,他人に戻ることです。具体的には,離婚により,「貞操義務」や「同居義務」や「協力扶助義務」といった,夫婦として相手方(「配偶者」)に対し負うべき義務はなくなりますし,相手方に対する「婚姻費用」の分担もなくなります(もっとも,子どもがいる場合の「養育費」の負担の問題は,引き続き生じます。)。
次に,夫婦関係の解消に伴う氏の変動や戸籍の変動の効果も生じます。これについては,次回にお話しさせていただきます。
また,離婚の種類ですが,①協議離婚,②調停離婚,③審判離婚,④和解離婚,⑤認諾離婚,⑥判決離婚の6種類があります(『離婚届』に「離婚の種別」として記載されています。)。氏の変動や戸籍の変動のお話に続き,主に協議離婚と判決離婚を念頭に,離婚に伴う「?」をお話ししていく予定です。
以 上